日付2017/04/28
インドネシア
【移転価格文書化の新規則について】
2016 年 12 月 30 日に移転価格文書化の新規制が公布され、マスターファイル・ローカルファイル・国別報告書を一定の要件を満たした企業は作成・保持することを義務付けられました。今回はその新規制について解説します。
1. 経緯
経済開発協力機構(OECD)が公表した「税源侵食と利益移転(BEPS: Base Erosion & Profit Shifting)に対する 行動計画」の最終レポートのうち、「行動 13: 移転価格文書化及び国別報告書に係るガイダンス」に対応するため インドネシアでは 2016 年 12 月 30 日に財務大臣規定を公布しました。
2. 制度の概要
マスターファイル・ローカルファイル・国別報告書の各文書の概要は下記の通りです。
- マスターファイル
多国籍企業の事業の「全体像」を把握し、重要な移転価格リスクの有無を評価するために作成を義務付けられた ものです。最終的な親会社(Ultimate parent company)が作成します。
- ローカルファイル
特定の国外関連者間取引に係る詳細情報を記載します。インドネシア法人が作成します。
- 国別報告書
国ごとの事業活動、売上・利益や税額の配分状況等を記載します。
最終的な親会社に作成義務があり、日本とインドネシアでは租税情報交換協定があるため、日本における最終的な親 会社が税務当局に提出すれば、双方の税務当局同士で情報が交換されます。ゆえに基本的に日本法人のインドネシア 子会社に提出義務はなく当レポートでは詳細は省略しています。
3. 要件
要件はインドネシアと日本とで差異があり、差異のうち重要なものは次頁の通りです。
注:本レポートは、日系企業向けであり、インドネシア法人が最終的な親会社となるケースは前提としておりません。よって、インドネシア法人にマスターファイルの作成義務がある又は国別報告書の作成義務があるケースは考慮していません。
4. ペナルティ
移転価格文書は要請があった場合、既存の法規定に従い一定期間内に税務当局に提出しなければなりません。 移転価格文書を作成してない場合は独立企業間原則(arm’ s length principle)を満たしていないものとみなされ、 税務当局側で独立企業間原則の調査が行われ、その結果に基づき場合によっては追徴課税がなされます。 また、移転価格文書を作成していない場合、ペナルティとして追徴による未払額の 50%が加算となるとされています。
※本文より一部抜粋
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