Global Insight

グローバル・インサイト

Global Insight vol.40

日付2017/06/21

ミャンマー

 

【新投資法の運用開始について】

1. 新投資法の運用開始について

 2016年10月18日に成立・施行されたミャンマー新投資法は、約半年間をかけて細則の整備が段階的に進められ、2017年4月の「投資奨励業種リスト」および「投資制限業種リスト」の公表をもって、いよいよ実務における運用準備が整いました。
 従来、ミャンマーに投資する外国企業は、MIC(Myanmar Investment Committee)による投資許可を取得することで、土地の長期リースが可能となり、また、一定期間の法人税や輸出入関税の免除などの税務恩典を享受することができました。今回の新投資法の施行による大きな変更点は、これらの2つの特権を享受するための申請プロセスが、投資申請自体とは別途の申請プロセスとして分離されたことです。また、従来の外国投資法で明確に規定されていな かった規制業種についても、「投資制限業種リスト」によって明示されたことで、投資家にとっては、透明性の高い制度が整ってきたと言えます。一方で、外国投資の促進にとって足枷となってきた外国企業による輸出入ライセンスの取得制限や、卸売業の外国企業への解禁については大幅な規制緩和とはならず、多くの外国人投資家の期待が後退する一面もありました。
 新制度における具体的な申請書類の雛型などはこれから順次公表される予定で、実務上の動向が注目されています。


2. 源泉徴収課税の対象外となる基準額の新設

 2017年4月4日、法人所得税の源泉徴収課税に関して税法通達が発表され、2017年4月1日以降の有効規定として適用されています。同通達では、支払者(源泉徴収義務者)の管轄税務署によって、源泉徴収税の対象外となる取引の基準額(特定の取引先との、一課税年度における取引総額)が定められました。
 法人の税務を管轄する税務署は、Large Tax payer Office(LTO)および3つのMedium Tax payer Office(MTO)に分類されています。3つのMTO はそれぞれ、MTO-1、MTO-2、MTO-3と呼ばれています。源泉徴収義務者である支払者の管轄税務署が、LTOおよび MTO-1の場合は 1,500,000チャット、MTO-2および MTO-3の場合は 500,000チャットが基準額とされ、一課税年度における、特定の取引先への支払見込み総額が基準額を超えない場合には、源泉徴収が不要となりました。
 その後、同通達の発表からすぐに、2017年5月22 日、上記の規定を修正するかたちの新たな通達が発表されました。最新の通達によると、判定の基準額は、一課税年度における支払い見込み総額ではなく、1回の支払いごとの基準額とされています。なお、それぞれの基準額および適用開始日に変更はありません。


※本文より一部抜粋
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