Global Insight

グローバル・インサイト

Global Insight vol.41

日付2017/08/31

マレーシア

 

【マレーシア源泉税に関する改正】

 2017年度税制改正により源泉税の対象となる範囲が変更され、非居住者がマレーシア国内で居住者に対して役務提供を行う場合に加えて、マレーシア国外で役務提供を行う場合にも源泉税の対象とされることになりました。
 例えば日本法人が日本国内でマレーシア法人のために役務提供を行っている場合にも対象となり、支払日から30日以内にIRBに対して源泉税を納付する必要が生じることになります。期限内に源泉税を支払わない場合には、源泉税額の10%がペナルティとして課されます。
 新たに源泉税の対象となった取引について源泉税の徴収を行っていない事例がまだ多く見受けられます。弊社でもアナウンスと確認の徹底を図っておりますが、貴社におかれましても源泉税の対象となっている取引がないか改めて検討の上、ご不明な点などございましたら弊社宛にご連絡頂けますようお願い申し上げます。
 
 この改正は、2017年1月17日より施行され、施行日時点でどのような状況にある取引が源泉税の対象となるか明確にされていませんでしたが、2017年6月にマレーシア内国歳入庁(IRB: Inland Revenue Board of Malaysia)から実務指針が公表され、マレーシア国外における役務提供に係る契約締結時点、役務提供時点及び支払時点と源泉税との関係が明確となりました。
 
(1)契約締結及びマレーシア国外における役務提供時点が2017年1月17日以降の場合、当該取引は源泉税の対象
(2)契約締結が2017年1月17日より前であり、マレーシア国外における役務提供が①2017年1月17日より前である場合、当該取引は源泉税の対象外、②2017年1月17日以降である場合、源泉税の対象
(3)契約締結及びマレーシア国外における役務提供が2017年1月17日より前であって、当該取引に係る代金の支払いが2017年1月17日以降の場合には、当該取引は源泉税の対象外
(4)契約締結及び当該取引に係る代金の支払が2017年1月17日より前であって、マレーシア国外における役務提供が2017年1月17日以降である場合には、当該取引は源泉税の対象外

 また、2017年7月に別の実務指針が公表され、2国間租税条約により、シンガポール及びスペインについてはマレーシア国外で提供された役務の対価については源泉税の対象とはされず、オーストラリア及びトルクメニスタンについては、マレーシア国内外を問わず役務提供の対価は源泉税の対象とされないことが明らかになりました。
 源泉税の対象となる役務提供は、ほとんどすべての役務提供ですが、一部源泉税の対象とならない役務提供も存在します。IRBは当該事項などを明確にする実務指針を公表するとしていますが、現時点においては公表されていません。今後の実務指針の公表には留意する必要があります。


※本文より一部抜粋
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