日付2018/04/26
アメリカ
【税制改革法案による法人への影響について】
昨年末に税制改革最終法案が可決し、個人や法人を対象とした新法案が2018 年度より施行となりました。
前回は個人納税者を対象とした項目についてご紹介しましたが、今回は法人を対象とした主な項目をご紹介します。
1. 法人税率の一律化
2017 年までは最高税率35%の累進課税方式が取られていましたが、2018 年より所得税率は一律21%になり、累進課税方式を撤廃しました。
2.繰越欠損金の使用制限と繰越・繰戻期間の撤廃
従来の法律では、税務上の純損失は一般的に2 年の繰戻期間と20 年の繰越期間が認められていました。今回の法改正では純損失の繰越期間を無制限とし、繰戻を撤廃しました。また、今回の法改正で繰越欠損金の使用が80% に制限されたことにより、これまで課税所得の全てを繰越欠損金を利用して控除してきた法人は、2018 年度より税金が発生する可能性があるので注意が必要です。
3.内国歳入法第179 条の上限額の変更
内国歳入法第179 条の下、適格固定資産の購入額を購入年度に一括償却することが認められています。この条項はこれまでも多くの企業に恩恵を与えてきましたが、今回の法改正によりその上限額がさらに引き上げられることとなりました。
2017 年は51 万ドルを上限に適格固定資産の購入額の一括償却が認められ、年度中の固定資産の購入額合計が203万ドルを超えると一括償却額の減額が始まります。
2018 年より一括償却額の上限がほぼ2 倍の100 万ドルまで引き上げられ、一括償却額の減額が始まる上限も250 万ドルに引き上げられました。
4.代替ミニマム税の廃止
代替ミニマム税(Alternative Minimum Tax、以下、AMT)は、高額所得の納税者が租税優遇措置により過度に節税することを抑制するために1969 年に創設されました。AMT の税額の計算は減税措置に調整を加えて計算され、通常の減税措置を用いて計算された所得税と比較し、いずれか多い方を最終税額とされていました。個人所得税のAMTは存続しますが、今回の法改正で法人所得税のAMT が撤廃されました。
5.内国歳入法199 条の廃止
内国歳入法199 条の下、適格法人は米国内での製造活動から得た所得に対して最大で従業員の給与費用の50% を上限として所得額の9%の所得控除を取ることが認められていましたが、2018 年1 月1 日以降に始まる年度から廃止となりました。
※本文より一部抜粋
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