日付2012/05/14
シンガポール
SCS Global Consulting (S) Pte Ltd.
【株式譲渡に係るキャピタルゲイン】
シンガポールでは、株式譲渡によるキャピタルゲインが非課税だとよく聞かれると思います。しかし、実際にはすべての株式譲渡が非課税となるわけではなく、一定の要件を満たすキャピタルゲインのみが非課税となり、キャピタルゲインに該当しない株式売却益には課税されます。そのため、キャピタルゲインに該当するかどうかは、企業にとって重要な問題になります。
キャピタルゲインの要件は、シンガポールの法人税法上明確に定義されておらず、実務上は以下のような要件を総合的に勘案してキャピタルゲインに該当するかどうかを判断していました。
① 株式売却理由:値上益を目的として保有でないものがキャピタルゲイン
② 株式保有期間:保有期間が長いものがキャピタルゲイン
③ 資金調達方法:短期の資金調達で購入していないものがキャピタルゲイン
④ 売却頻度:頻繁に売買しないものがキャピタルゲイン
⑤ その他
実務上はこのような実態による判断が困難な場合も多くみられました。これに対して、2012 年6 月以降の株式譲渡については、当該株式を売却前に①24 ヶ月以上、②20% 以上を保有しているという2 要件を満たす場合には、キャピタルゲインとして非課税とされました。この背景として、シンガポール政府がシンガポール地域統括会社の設置を推進しているため、組織再編時の株式譲渡に係る課税条件を明確にする必要があったということが言えます。また、この2 要件を満たさない場合には、従前通り実態基準により判断されることになります。
なお、この取扱いは、2012 年6 月までにシンガポール税務当局から詳細の発表があるとされていますので、この動向にも注意が必要です。
※本文より一部抜粋
SCS Global Insight は弊社顧問契約締結先に配布しております。