日付2018/05/10
シンガポール
【国際会計基準(IFRS) の変更とシンガポール法人への影響】
2018年1月1日開始事業年度から、国際会計基準(IFRS)ではIFRS第9号「金融商品」とIFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」が強制適用されます。
今回の改正は、幅広い業界に影響を与えることが予想されます。また、この改正はIFRSとコンバージェンスやアダプションを進めている国の基準にも影響を及ぼしますので、シンガポールでもIFRSの基準と同等のFRS第109号「金融商品」及びFRS第115号「顧客との契約から生じる収益」が強制適用になります。
以下、簡単に日本の連結会計基準の取扱いにも触れながら、当該基準の概要について簡単に説明致します。
1.FRS第9号(金融商品)
■分類及び測定
・資本性金融資産は、FVTOCIで評価した場合、配当以外の関連損益をその他の包括利益で計上し、減損の処理が不要となりました。
(ただし、親会社の連結会計基準で日本基準を採用している場合は、実務対応報告18号により、親会社の連結決算書上、企業会計基準第10号や国際会計基準第39号の定めに従って、減損処理の検討を行い、減損処理が必要な場合は当期の損失として計上するよう修正します。)
・金融商品は契約上のキャッシュフロー特性と事業モデルに基づいて行われます。
・金融負債のうち、当期純利益を通じて公正価値で測定する(FVTPL)区分に指定したものに関しては、発行者自身の信用リスクの変動に起因する公正価値変動はその他の包括利益に認識されます。
■減損に関する新たな規定
・IAS第39号における発生損失モデルに替えて、金融資産の質の変化に応じて予想損失を計上する予想信用損失モデルが採用されました。これにより、発生損失モデルよりも減損損失をより早く認識することになります。
・金融資産の信用の毀損の有無により、利息の算定方法が異なります。
・売掛債権、契約資産及びリース債権については、信用の質の変化を考慮しない残存期間にわたる予想信用損失を認識します。
・90日延滞している債権については、「債務不履行」とみなされます。
2.FRS第15号(顧客との契約から生じる収益)
・収益を認識するコア原則として1.契約の識別、2.履行義務の識別、3.取引価格の算定、4.取引価格の各履行義務への配分、5.収益の認識という5つのモデルを採用しました。
・計上単位は、複数の契約にまたがって存在する場合、単一の履行義務として処理しないといけなくなりました。
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※本文より一部抜粋
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